ITエンジニアが何を創っているのかについて

ITエンジニアが何を創っているのかについて

2019年 8月号

IT革命という時代以降、IT関連の仕事は急激に増えております。SEやプログラマーだけでなく、ゲームクリエーターやウェブデザイナーまたはITアナリストなど様々な分野でIT関連の職業が活躍しております。IT人材の量的な増加が進む一方で、質的な部分でも社会からの期待が大きくなっております。しかし、質的な部分を問われるとIT業界はITエンジニアに対する人材育成や教育研修で多くの課題と戦っているところでもあるように見受けられます。

IT業界の世界では50代になっても、開発現場で上手く仕事を進めることができず、苦戦するITエンジニアもいます。業界ではITエンジニアの量も足りず、競争も激しく、急速に成長するなかで人づくりが上手く進められることができない面もあったのかもしれません。その後輩として、30代、20代のITエンジニアが続々と社会に出て、開発現場にて実践を積み重ねているわけですから、なおさら人づくりが進んでいないかもしれません。勿論、人づくりに失敗をしているわけではないと思います。もしかすると、つまりIT業界の更なる成長のポイントは人づくりと言えるかもしれないということです。

日本の高度成長を支えた自動車業界や家電メーカーなどの業界はただ単に世界一の国産自動車を創ったのでしょうか?世界一の白物家電を創ったのでしょうか?これらの産業の成功の要因の一つは人づくりだったのかもしれません。このことを考えるとこのような成功企業の人づくりは日本のIT業界にとってもとても参考になるのではないでしょうか。

さて、そもそもITエンジニアは何を創っているのか?ということも大事なテーマです。お客様から要求されたシステムを作る。または仕様書通りのプログラムを作るということは当たり前のことです。しかし、エンジニアとしての仕事のゴールがそこでは質的な部分で社会のニーズには追いついていけないのではないかと思われます。業務系システムのITエンジニアであれば、その提供先(納品先)のビジネス自体を作り上げる一員であるという意識が必要でしょう。ITエンジニアの中には、お客様に言われたことはやってある、後はお客様の方の問題だという考えを持った人も多くいますが、その人がそもそも共にビジネスを創る協力者であるという認識で仕事をしていれば、開発後のシステムも期待以上に活躍して、お客様のビジネスを成功に導くことになります。そう考えるとITエンジニアという仕事はお客様の成功や未来を創っており、そのようなことに心の底からその喜びを感じることができる職業でなければならないとも言えるのではないでしょうか。